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目黒らしさとは?Vol.1 『自然と歴史から紐解く』

「地域らしさと言うのは、地元の人にとっては当たり前過ぎて気付きにくいんです」

そう語るのは、松野町教育委員会の亀澤一平さん(通称亀ちゃん)。彼は、松野町目黒の歴史や文化に魅了された自他ともに認める「目黒オタク」。

今回は水際のロッジのスタッフでフィールドワークを行いながら滑床渓谷の麓の目黒集落についての知識を深めた。

地域らしさを再発見する

目黒らしさってなんだろうか?
どこへ行っても、自分が住んでいる町の価値や魅力は、日常に溶け込んでいるせいで、見過ごしてしまう。

「目黒も、一見どこにでもある日本の農山村の風景ですよね。でも実は掘り起こしていくと目黒らしさが出てくるんです。目黒はここにしかないんだと言うことに気がつくんです。」

と熱く語り始める亀ちゃん。文化的景観を守るために活動している彼だが、そもそも文化的景観とはなんだろうか?

「簡単に言うと、地域らしさですね。地域の人たちがそこに暮らしていて『しっくりくるもの』。これまで長い歴史の中で人々が取捨選択を繰り返してきた結果が今の景観を作り上げています。だから、地域らしさを理解するためには、『自然』『歴史』『暮らし』の3つの側面から見ていくことが重要なんです。」

自然〜直線的な目黒川〜

滑床渓谷から目黒にかけて一直線に流れる目黒川は、目黒の町のシンボルともいえるだろう。
実は、このあたりの周辺地域の川の中で直線的に流れている川は珍しいそうだ。

「四万十川(高知県土佐市)も広見川(松野町〜鬼北町)も色々な地質を掻い潜るように、クネクネ曲がっているんです。その中で目黒一帯は同じ頁岩(けつがん)という地質からできているので、蛇行せず一直線に川が流れています」

亀澤さん資料より一部抜粋

また、目黒川は水がすごく冷たく、清流が流れる。例えばヤマセミやカワセミなど、綺麗な川にのみ生息する鳥や、森で見られるような植物や昆虫など多様な生物が見られるのも、渓谷に近い目黒にしかない特徴だ。

そして冬はとても風が強い。というのも、冬の季節風が大陸からダイレクトに入ってくるからだ。
「昔から、こうした強風とうまく付き合っていかなければいけなかったので、この風をいなすために、特に渓谷に近い上目黒の辺りでは石垣や防風林などを家の西側に築いて風を防いでいました」

「なので、町を見渡してみると、西側に石垣がある家が多いと思います」

石垣は西日本のマチュピチュやな〜と熱く語る亀ちゃん

歴史〜百姓は末代に御座候〜

「目黒は木材の資源が本当に豊富なので、すごく重要な地域で取り合いだったんです」

山は神様の土地であるということから、森林の管理の境界は曖昧で、土地争いは話し合いで解決していたのだという。
しかし、江戸時代に入り、土地の線引きをしなければいけなくなったことで、「山争い」が始まった。

「争いは、宇和島藩と、目黒の吉田藩の間で起こりました。決着がつかないまま泥沼化してしまったため、江戸幕府に判決を下してもらおうと、わざわざ土地の絵図と山の模型図を作って、江戸まで持っていきました」

「その時に幕府に向かって彼らが言った言葉が『百姓は末代に御座候』。つまり、『我々百姓は死ぬまでこの土地で生きていかなければいけない。だから、この土地の境界を決めるというのは我々にとってすごく重要な問題なんです』と主張したことが記録に残っています。
結果、お互い納得した判決を下され、その時に決まった宇和島と目黒の境界線は現在も変わっていません」

絵図(目黒ふるさと館展示)

『自然』『歴史』だけでも面白い、目黒にしかないストーリーがある。
さらにこうした自然や歴史の中で人々がくらしてきたからこそ、『人々のくらし』『生業』も文化的景観と密接に結びついている。

次回の記事では目黒の人々の暮らしについて、見ていきたい。
▶︎▷目黒らしさとは?Vol.2『暮らし・生業から紐解く』

ライター/井上美羽

心を洗いに、
森におじゃましませんか。