森の国

LIVING

森の国の住人たち

料理は楽しい

SELVAGGIO料理人

Selvaggioの厨房で前菜、ピッツァ、ドルチェを担当している堀ちゃんはスタッフ、お客さん、みんなから愛される元気な女の子。
そんな彼女は1年前、知人の紹介で東京杉並区から愛媛森の国に一人でやってきた。料理も未経験。友達はゼロ。そんな彼女を動かしたのは、食に対する熱い思いだった。

都会育ちだけど、自然が大好き

東京の杉並区で生まれ育った堀ちゃんだが、小さい頃から、自然と触れ合う経験を多くしていたという。
「小学生の頃、2週間程、福島鮫川村のキャンプに姉と一緒に行っていて、飯盒でお米を炊いたり、鶏の鳴き声と共に起きて、卵を集めるところから子供たちでやったり、川で手掴みで鮎捕りをしたり、星空を観に行ったり、ここと同じようなことをやっていたんです。
親も旅行が好きで、月一回くらい旅行に出かけたり、山登りをしたりして、自然との触れ合いは都会にいるけど多かったんです。大学生になってからも、友達と富士山の頂上まで登って日の出を見たり。
最近の若い人ってゲームばっかりするじゃないですか。でも私はとにかく外遊びが好きで、猿みたいな感じで生きて来たんです。笑」

移住後の森の国生活

そんな彼女が森の国に移住して来たのは2020年2月。最初はすごく緊張したという。
「転職も、一人暮らしも、移住も、料理も、もう全てが初めてで、ものすごくドキドキしました。」

それでも、この町の人たちと大自然が一人でやって来た女の子を温かく迎えいれてくれた。
「周りの人がみんな優しくて。山の下を降りたところに住む梅農家と民宿をやっている芝さんは、すごく良くしてくれて。芝さんの紹介で知り合った岡村さんも、もう第二の母みたいで、ローズマリーとか、バジルとかハーブ系をちょうだーいって言っていただいています。笑」

天気の良い日は外に出て、「どこにいこうかな〜」と考えながら車を走らせる。松山や大津、高知など一人で四国をめぐる彼女の休日の過ごし方も、地方移住の楽しみ方の一つだろう。

そんな田舎暮らしを満喫している彼女に、東京が名残惜しくなることはあるかと聞くと、「ん〜挙げるとしたら、友達と居酒屋に飲みに出かけられないことが田舎暮らしの物足りなさを感じることかな」という。
「東京だったら電車もあるし、終電を逃してもオールすれば良いので、ほんといつでも飲みに行けたんですよねー。でもこっちはまず車じゃないとどこも行けないし、飲む友達も職場の人しかいないので、そこは、ちょっと寂しい。
それでも夏が終わって、5日間の休みと、1月にも1ヶ月の長期休みをいただけて、東京に帰って、親や祖母、友達にも会えたので、まあそれで全然良いかも。田舎に住んでるとお金も全然使わないのでめっちゃ貯まりますよ!笑」

移住しても、行き来できる距離だからこそ、ちょうど良いのかもしれない。
「友達もこっちに遊びに来てくれたり、自分が作ったピッツァを冷凍してECサイトを通して友達に届けることもできるので、離れていてもいいな、と思います。」

「自分が好きな食べ物のことを知っている管理栄養士ってすごい」

昔から食べるのが大好きだった彼女は、大学で管理栄養士の資格をとり、東京の病院で1年間管理栄養士として働いていた。
彼女が食を仕事にしたいと思ったきっかけは小中学校の給食だった。

私のいた中学校では給食の時に食育活動とかもしてくれて、私の好きな食べ物のことを、こんなに知っている管理栄養士さんすごいなーって。めっちゃ詳しいじゃんみたいな。笑 それから給食室も見にいくようになって、厨房の中も見せてもらったりして、めっちゃ良いじゃんこの人たち、優しいし美味しい料理もつくれるし、と思って。栄養士になったら、私が好きな食べ物のことを知れるんだ、と思って管理栄養士になることを決めたんです。」

「やっぱり食って私の中で大きくて、昔から食べるのが好きで、親の料理もすごく美味しかったし、週一くらいで外食に行ったりする家庭だったんです。
中学の頃も、お菓子を作ってみんなに配ったりしていたんです。
ただの自己満なんですけど、喜んでくれてあーよかった〜って思うのがすごい好きで。」

とにかく料理がやりたかった

管理栄養士を目指してから、まさか森の国のピッツェリアで働くなんて思ってもみなかった、と笑いながら話す堀ちゃんは、もともとパスタもイタリアンも好きではなかったという。

「厨房に入って料理がしたくて管理栄養士になったんですけど、前職では病院の200〜300食の盛り付けして、片付けをする、という業務で、料理を作ることができなかったんです。それはそれで楽しかったんですけど、やっぱり料理がやりたかったんですよね。だから、このお話を聞いた時に、未経験でも料理ができるならと思って、来てしまったんです。」

「もう、超初心者なので、最初は何がわからないかもわからなかったです。ただ、仕事は大変ではあるけど、料理作るのが楽しいな〜って。美味しかったものとか、直にお客さんに聞けるので、そこはいいな。とおもっています。」

「あと、働きながら、今はパスタってこんなに美味しいんだ〜って、パスタの美味しさに気が付きました。」

料理の世界をもっと知りたい

「休みの日に、お店で食べに出かけて、私にも作れそうだなー、とか、美味しいなと思ったものを実際に作ってみて、アドバイスいただきながら、今はめちゃくちゃ自由に作らせていただいています。」

「休業中にたくさんピッツァを練習する機会も頂けて、今月は毎週ピッツァを考えてお出しするので、お客さんの反応を聞くのも楽しみです。」

お客様が自分の料理で喜んでくれたという声を直接聞くことは、彼女のモチベーションの糧となる。
「ホテルのサービスの人から、『今日のこのお客さんピッツァ美味しいっていってたよ』とか、感想を聞くと、めちゃくちゃ嬉しい、よかったなって思います。」

これからどんなことを頑張りたいか?と聞くと、「ピッツァももちろんですが、今自分のポジションの一つでもある前菜を頑張りたいと思っています。」と答える。

「東京に戻った時に、他のレストランで食べる経験をストックしなきゃと思って、1週間毎日食べ歩きをしていたんですけど、私が知らないものがたくさん出てきて、すごく勉強になって。
そのなかでも東京のとあるお店の前菜がもうめちゃくちゃ美味しくて感動したんです。友達と二人で食べながらめっちゃ笑顔になって。ピッツァ、パスタ、メインが美味しいお店はたくさんあるけど、前菜からこんなテンション上げてくれるのってすごい。
私も前菜からお客様をワクワクさせられるような料理を出したい、と思いました。」

志の高いエネルギッシュな堀ちゃんの作るピッツァと前菜を、ぜひSelvaggioで堪能して欲しい。

ライター/井上美羽