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森の国 Valleyの住人

No.12
キャンプの魅力

キャンプカウンセラー
今年4月から1年間という長期インターンに来たガブ(川島才路)さん。筑波大学の大学院で「キャンプ(野外教育)」について専門で学ぶ彼が森の国にやってきた理由は、森で子供たちの野外教育をやりたいという想いからだった。

今年4月から1年間の長期インターンとして森の国にやって来たガブ(川島才路)。筑波大学の大学院で「キャンプ(野外教育)」について専門で学ぶ彼がここやってきた理由は、森で子供たちの野外教育をやりたいという想いからだった。
彼の言う”キャンプ”はいわゆるレジャーの1泊2日などのキャンプではなく、長期の「野外教育」である。
子供を自然の中に連れて行って、自然の中でしか学べないことや”キャンプ”を通して子供が成長していくことができる場を作りたいと考える彼に、”キャンプ”の魅力について話を聞いた。

彼が森の国にやってきたのは2020年夏。海外留学の予定がコロナでなくなってしまい、急遽1年間アウトドアの住み込みアルバイトで日本国内を回ることに決め、滑床渓谷のキャニオニングのサポートスタッフとして働いていたときに、サン・クレアと出会ったのであった。

キャンプの魅力

ガブがキャンプに興味を持ったきっかけは、大学三年生の時に所属した野外運動研究室だった。研究室に入った際に初めてキャンプを経験したことで、キャンプの面白さに気がついたのだという。

「登山なども含めたハードなキャンプを1週間行ったのですが、3日目くらいから、だんだんとフラストレーションが溜まっていって、途中イライラしてしまったり、我慢できなくなったりして、自分の感情をコントロールできなくなっていったんです。」

「でも、自然の中でグループで行動していると、不思議とキャンプ中に感じたことや自分のことを話すようになったり、他人の良さが見えてきたり、自分の未熟さが見えてきたり、自分の心の内をオープンに吐き出せるようになってきて。
キャンプというのは、非日常的な体験の中で色々な要素があって、自分が思っていることを自然に口にしてしまうような空間になるのだと思います。」

感情の爆発を起こすために

キャンプでは、キャンプカウンセラーという役割がある。キャンプカウンセラーとはキャンプ中の子供の生活のお世話をしたり、精神面のカウンセリングを行う。具体的には、火起こしやテントを立てるという技術的なハードスキルと、カウンセリング、子供とのコミュニケーション、運営マネジメントのソフトスキルの2種類のスキルが必要なのだ。

受容:ありのままの存在を受け止める。
共感:その人の感情を自分ごとのように共感してあげる。
自己一致:カウンセラー自身が感じている感情を無視しない。

キャンプを運営する上でこの3つのポイントが重要だという。
話を聞いていると、キャンプは想像以上に奥深い世界のようだ。
そしてその世界を味わうためには、1週間程の長期キャンプである必要があると自身の経験を通して話す。

「グループで活動をして3〜4日経つと、先ほどお話ししたように、だんだん感情をコントロールできなくなって、我慢ができなかったり、イライラしたりするんですね。それが『感情の爆発』です。でも、その壁を乗り越えるからこそ、グループのステージが上に上がる。そういった『感情の爆発』を起こすためには1週間くらいあったほうがいいんです。」

自分のことを好きになって欲しい

キャンプを通して子供達には自分のことを好きになって欲しいのだと語るガブ。

「自分はもともと自分自身のことを好きになれなかったのですが、大学でキャンプを始めてから、自分のプラスとマイナスの部分を知り、受け入れることができるようになったんです。だから、もっと小さい頃からキャンプをやれば、もっと自分を肯定して生きられるかもしれない。」

「学校教育ももちろん大事なのですが、どうしても学校教育だとテストや学問で評価をされてしまいますよね。そこだけに気を取られないで、それ以外の自分の良さを見つけて欲しい。『他人から評価されてそれに応えていくことが人生じゃないんだよ』ということをキャンプの中で気づいてもらえたら、どんな仕事についてもどんな道を選んでも自分の選択に自信を持つことができると思うんです。」

『By Name』 で生きる。

森の国にインターンシップに来てから2ヶ月。いろいろな人と出会うことができるこの場所での生活は彼にとっても刺激的な毎日だ。

「細羽さんが仰っている『By Nameで生きろ。』という言葉が印象に残っていて。ここに集まってくる人は、みんな自分の名前『By Name』で生きていて、自分がやりたいことを仕事にしている。そんな人たちと森の国で出会う中で、以前は働く上でお金や給料の心配をしていたけど、それよりも自分のやりたいことに若いうちからどんどん挑戦したほうが人生面白くなるのかな、と思えるようになりました。」

キャンプに対する熱い想いを語ってくれたガブ。特に、キャンプをやったことがない人に体験して欲しいと話す彼は今年の夏、森の国で10日間のキャンプ体験を企画中だ。

森の国の大自然の中で10日間過ごす。
そんな体験は日常では味わえない貴重な体験である。

森の国で、もっと自分を好きになって帰っていく子供たちが増えたら・・・。
子供たちがより自分らしく生きられるように・・・。

そんな真っ直ぐな彼の思いが形になるのがとても楽しみだ。

ライター/井上美羽

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