AMBITION

森の国 Valleyの挑戦
2024.04.22
NAMECAMP

山神様へお供えものを届けるために!3泊4日、30キロのぼうけん

#NAMECAMP

2023年から始まったNAME CAMP Juniorは、小学生低学年を対象にした3泊4日のサマーキャンプ。

キャンパーたち(参加者)が森の国(松野町目黒集落)に集結してすぐに、キャンプディレクターのまいまいから渡されたのは、「ぼうけんの書」と書かれた一冊の本。彼らは、目黒の住民から、大事なミッションを任される。


目黒の山の調査員、亀ちゃんから、目黒に昔から伝わる「じゅんぐりのお話」を聞いた。

むかし、むかし、一人の炭焼き猟師がおりました。ある日のこと、この漁師が、目黒の、西の川の山へ猪狩りにいきました。この山は大木が茂った昼も暗いほどの深山であり、山のいただきに大きな沼がありました。猟師が、この沼のほとりで猪が来るのを待っていると、一匹の青ミミズがするするやってきました。すると沼の中から大きなカエルが出て、青ミミズをぺろりと食べてしまい、しばらくすると、一匹の大蛇が出てきて、蛙を一口食べてしまいました。すると、そこへ猪が来て、大蛇を食べてしまいました。猟師は、今度は自分が猪を撃つ番だと思い、鉄砲の火縄に火をつけ引き金に手をかけましたが、そこで考えました。

「ちょっと待てよ。先ほどからみていると、強い奴が出てきては、弱いやつをやっつけている。若しわしが、この猪をやっつけると、ワシより強いのが、また出てきて、今度はこのワシがやられるかもしれぬ」と思い、あたりを見渡しました。

すると突然、頭の上の大木から、「猟師よ、良くわかったのー」と、いう声が聞こえました。

猟師が驚いて上を見ると、怪物が、今にも猟師に襲い掛かろうとしていました。猟師はびっくり仰天して、助けを求めました。

「ゆるしてくれ!」

すると怪物はこう言いました。

「毎年正月の満月の日にここへ供物を持ってくれば、山で猪を捕まえてもお前のことは食わんでやろう」

それから猟師は言われた通り、西の川の山へお供物を持っていき、大きな岩の前に供えてお参りをしました。

そして、キャンパーたちは、目黒に住む農家ののぶりんたちからお願いごとを頼まれる。

「僕たちがいろんなものを食べることができて、生活できるのは、この水のおかげです。神様にお供物を持っていき、感謝の気持ちを伝えてください。」

地元の方の想いと共に、大事なお供物を託された子どもたちは、3泊4日間かけて、山神様のいる神社に挑む。


自分たちで考えたチーム名はそれぞれ、「自然の恵」「山神の忍」。
緊張とワクワクで胸を高まらせながら、明日からのぼうけんに備え作戦会議をし、1日目の夜を過ごした。

翌朝、ぼうけんの地図と目黒の梅シロップと目黒米を手に、キャンパーたちは出発する。

片道15キロの山登り。まだ身体の小さい彼らにとってはおおきなおおきなぼうけんだ。


道中は、冷たい川の中を力強く歩いたり、エネルギーが切れて石の上で寝てしまったり、白骨化した鹿を発見したり、ブルーシートで作った簡易テントで、びちょぬれになりながら一夜を明かしたり、大自然の中で生き抜く術を身につけていった。

友達と言い合いになったり、仲良く笑い合ったり、自分のペースでどんどん歩きたかった子が、仲間のペースに合わせられるようになったり、友達とぶつかりながらも、仲間と共に生きる力が自然についていく。

こうしてたくさんの壁を乗り越えた彼らは、ひとまわりもふたまわりも強くなる。

野菜嫌いな子は、大嫌いだったきゅうりが食べられるようになった。
包丁を持ったことのない子は、率先して炊事を準備するようになった。
遠慮がちだった子は、最後はチームを引っ張る頼れる存在になった。

それぞれが自分自身と戦いながら、でも一人も弱音を吐くことなく最後まで力を振り絞り、ついに山上様の祠(ほこら)に辿り着く。


「これからも、みんなが美味しいご飯を食べられるように、恵みの雨を降らせてください」と、山上様にお願いをする。山神さまへのお参りという任務もしっかり果たしたキャンパーたちは、達成感を胸に勇ましい表情で目黒集落に戻る。彼ら・彼女らは、お母さん・お父さんの姿が見えると最後の力を振り絞って笑顔で走ってゴール。ゴールした瞬間、お母さんに抱き付きお父さんとハイタッチする子どもたち。子どもたちの姿が見えただけで、涙するお母さん・お父さんもいた。

たった3泊4日。されど彼ら・彼女ら・親にとってもかけがえのない3泊4日だ。
無事下山し、心も体も一回り大きくなったキャンパーたちは目黒の勇者の勲章を胸に、帰路についた。


親御さんからのメッセージ:
今回初めて一人で親元を離れる機会となり、参加するまではとても不安で心配ばかりしていました。しかし逞しく成長して帰ってきた息子を見て、本当に行かせてよかった!と感じています。今回初めての場所、初めてのお友達やスタッフの皆さんと過ごしたこの四日間の経験は、息子の自信につながり、心のお守りになってくれることと思います。

写真:NAMECAMP Jr.運営スタッフ
ライター:井上美羽

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