REPORT

ようこそ、森の国Valleyへ。入国手続きは「森とパン」で
森の国Valleyに泊まる。
それは、ただの宿泊ではなく「森の暮らし」にそっと入り込む時間のはじまりだ。
旅のチェックイン場所は宿のフロントではなく、集落の真ん中にある一軒の喫茶店「森とパン」。

パン屋から喫茶店という形に変わり、地域の人たちの憩いの場としてもゆるやかに息づいているこの場所には、チェックインの時間帯に地元の方や子どもたちが立ち寄っていることも珍しくない。
観光地でも、ただの施設でもない。森とパンは、森の国Valleyへの入口そのものだ。

この日のゲストは農業に興味があるご夫妻。
チェックインから始まる、集落の営み体験
森とパンでは、宿泊のチェックインだけでなく、この地に根ざした自然の恵みや、独自の経済のかたちにふれることができる。
たとえば、森の国Valleyのスタッフが自然栽培で育てた野菜の収穫体験。

この日はちょうど、ジャガイモの収穫時期。チェックインを終えたゲストと、偶然立ち寄っていた近所の子どもたちも一緒にジャガイモを掘り出す。


ジャガイモ掘りの後は、森とパンの裏にあるサステナブルファームへ向かう。パン屋の裏庭になっているさくらんぼや枇杷などの果樹をつまみながら進んでいく。

野菜を収穫しながら「コンパニオンプランツという互いに助け合う植物同士を組み合わせて育てているんです」といった、自然栽培に挑戦しているスタッフの栽培に対するこだわりを聞くことができる。


農薬や肥料に頼らず、じっくりと対話しながら育てられた野菜たちは、どれも触れるだけで不思議と元気をもらえるような力強さをもっている。そして調理しなくとも味が濃くて美味しい。

収穫した野菜は、水際のロッジでのディナーで味わうことができる。自分で手に取った野菜が、料理人の手で調理され季節の恵みを存分に感じられる一皿に仕上げられる。ただの食事を超えて、自分が森の暮らしの一部になったような特別な時間をもたらしてくれる体験だ。

また、森とパンでは、「森コイン」という森の国Valleyだけで使える木製のギフトコインを購入し、コーヒーや大根茶などのオリジナルドリンク、米粉パン、季節のジェラート、そして石窯で焼いた冷凍ピッツァなどと交換することもできる。

また、森コインを使って「種みくじ」や「竹炭作り体験」などのアクティビティにも挑戦できる。

森コインが教えてくれる、回る暮らし
この森コインには不思議な特徴がある。
使わずに長く放っておくと、木の板が少しずつ腐っていく。

ためこむものではなく、誰かに渡し、使って、また別の誰かにつながっていく。小さな集落ならではの「循環する暮らし」の感覚が、自然と身体に染みこんでくる。
別の地域から来たゲストであっても、この森の経済の一部になれる。
それは不思議で、少し誇らしい体験になるかもしれない。
ようこそ、森の暮らしの入口へ
「森とパン」には、地域の人もゲストも、分け隔てなく腰を下ろす。
水際のロッジに泊まる人は観光客ではなく、この集落の一時的な住人。
山の空気を吸い込み、畑の土に触れ、地元の人と「こんにちは」とあいさつを交わすその瞬間に、いつの間にかこの土地を好きになっている自分を見つけるはず。

森の国Valleyで過ごす時間が、暮らしの輪の中にそっと入り込み、この地の「新しい仲間」としてのはじまりとなりますように。