HARVEST
月のバイオリズムに合わせて作る目黒米
滑床渓谷の大自然の恵みを含んだ清らかな水と、大自然の土壌から栄養をたっぷり吸い込んで育った『目黒米』は、現在水際のロッジの朝食で提供している。
初めて口にする人はきっとその美味しさに驚くに違いない。
北久シェフも感動し、絶賛したこの『目黒米』を作っているのはのぶりん農園の毛利伸彦さんと真由美さん。今回はのぶりん農園の目黒米の魅力について、お話を聞いた。
赤くそびえ立つMORI FARMの看板
森の国松野町目黒は上目黒、中目黒、下目黒の3つの地区に分けられる。
のぶりん農園はその中でも中目黒地区に位置する。
なんだか東京でも聞き覚えのある名前だ。
森の国の中目黒は、おしゃれなカフェが建ち並ぶ某中目黒のイメージとは大きな乖離があるが、山と田畑に囲まれた景色を一望できる美しい町だ。
そして大自然の緑と、広い青空の間に、真っ赤な看板がそびえ立つ。
その名も『MORI FARM』。
ここではおちゃめで町の人気者の毛利ご夫妻が、目黒米や、ハーブ、多種多様なお野菜を大事に育てている。
見た目よりも身体に良いものを
伸彦さんと真由美さんは大自然の声を聞きながら、自然の力でお米を作る。
「農薬って良くないやんか、ぜったい。
俺はもう農薬もやらんし、収穫量は多くはないけど、健康的で美味しいお米を作りたい〜って思ってね。」
筆者自身も農作業を手伝う中で、無農薬で野菜や米を育てることがとても大変だということを身を持って感じている。
「肥料で作ると、収量もたくさん取れるし、見た目も綺麗なお米ができるから、売れるんよ。
田んぼもお米もキレイでよかった〜ってなるけど、それが美味しいかどうかはまた別の話。
うちの畑は草はボーボーやし、稲は細いし、あんまりたくさんは収穫できん。
でもそれがいいの。
それが自然と共存してるってことやけん。」
土壌菌があればしっかり育つ
土の中にいる土壌菌は植物に栄養を与えるための重要なファクターとなっている。
「昔は化学肥料も機械もないけん、馬で耕しとったよね。」
今はトラクターで土を耕すのが一般的だが、機械だと土を必要以上に細かく砕いてしまうため、菌も壊れてしまう。
さらに重い機械が土を圧迫し、土壌がどんどん固くなってしまうのだ。
菌がいなくなった痩せた土地では栄養素を化学肥料等で賄う必要が出てくる。
しかし、本来は土の中の菌や微生物が栄養素を蓄え、土壌を強くする。
「山の木は肥料与えてへんのにすごい太るやんか。
あれは土壌菌が空気中の窒素を吸って木に栄養を与えてあげているからやけん。田んぼも、根粒菌とかいろんな土壌菌が入って、本来は自然とうまくバランスが取れていくんやって。」
自然の栄養を豊富に含んだ豊かな土壌を再生させるためには5年程かかると言われている。
「うちらは始めてからまだ2〜3年やから過渡期よね。
土壌菌を生き生きさせるために、うちでは唐津菌っていう菌を撒いとるんよ。」
人の力は集まればすごいパワー
草刈りは農家にとって地道で、最も大変な作業の一つだ。
特に夏場、草たちは人間の労力もお構いなしに元気に育つため、2〜3日に一回ほどの頻度で草刈りをする。
ただ、草も、抜かないで良い草と、抜いた方が良い草がある。
人の目で選別してあげる必要があるのだそう。
「稲が育つのに邪魔せん草は、いっぱい生えても全然問題ないんよ。
抜いたほうがいい草だけ、一個一個抜いてあげる。」
そのためには、機械ではなく人力でなければ。
「人の力は、集まったら機械よりもすごい。
5〜6人おったら、もうあっという間に済むけん。
昔は目黒でも地域のみんなで集まって田植えして、お昼になったら土間に集まってみんなでご飯食べて、そんでまた田植え〜ってしよったね。
みんなで一緒に、順繰り順繰りやっていけばいいけん。」
月のリズムでお米を作る。
のぶりん農園では月のリズムに合わせて土壌菌を撒く日を決め、手帳に農作業の予定を入れていく。
「うちは月の満ち欠け、潮の満ち引きに合わせてお米を作るようにしとるんよ。」
地球上の生命体はすべて潮の満ち引きとのバイオリズムが重なっている。
例えば、子供が生まれるときは潮が満ちるとき。
死ぬときは潮が引くときだと言われている。
「生態系はみんな、時計持ってないやんか。
虫が飛んだり、産卵したり、交尾したりするんも、みんな月をみて動いてるんよ。
だから人間もそのリズムに合わせてせんといけんのよ。」
「できるだけ自然に近い形で自分たちの生活をして、心身ともに健康的に生活できたら地球にとっても自分にとってもいい暮らしになると思うんよ。」
そう語る伸彦さんと真由美さんの表情はとても晴れやかだ。
今年も田植えの季節がやってきて、徐々に茶色から緑に色付く森の国目黒。
さあ、今年の夏は自然の声を聞きながら、みんなで草刈りをしよう。
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心も身体も健康になってほしいという 伸彦さんと真由美さんの想いがこもった のぶりん農園目黒米は現在食べチョクでも 販売中。
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