RESIDENTS

森の国 Valleyの住人

No.14
子どもを通して

キャンプディレクター
NAMECAMPは子どもたちの生きる力を培うことがテーマだが、キャンプディレクターのまいまいは、「子どもたちだけではなく、カウンセラーやマネジメント側も大きく成長をするのだ」と語る。

2021年夏、始動した『NAME CAMP』
10泊11日にわたる野外での生活を通してこどもの生きる力を育んでいく。

この一大イベントを森の国でゼロから組み立てたのは今年春から水際のロッジにジョインした前川真生子(まいまい)と川島才路(ガブ)だ。

野外教育を専門に大学〜大学院で学んできた彼らは、このために関東から森の国にやってきた。

NAME CAMPは子どもたちの生きる力を育むことがテーマとなっているが、今回キャンプディレクターを務めるまいまいは、「子どもたちだけではなく、カウンセラーやマネジメント側も大きく成長をするのだ」と語る。

今回はNAME CAMPの真っ只中、まいまいに本キャンプにかける熱い思いを聞いた。

NAME CAMP ディレクターまいまいが全15人のチームを引っ張る

多様性を受け入れる

これまで200以上のキャンプ・野外研修の指導や運営に携わってきた彼女は、野外教育を通して自分が変わったのだという。

「大学生が野外教育としてのキャンプに関わることで彼ら側も結構鍛えられるのね。みんな今すごい苦しいと思うけど、子どもや自然と向き合う時間は、結局は自分と向き合う時間になっているの

私は、ずっと自分のことを好きじゃなかった。大学院一年生くらいまで。

多様性を受け入れられないタイプで、違う考えを持つ人に対して『なんでそんなことするの?なんでそんな考え方なの?』って思っちゃって。

でもキャンプって不登校の子も、発達障害の子も、いろんな子が集まってきて、その中で一緒に生活をしなきゃいけないから、ここでカウンセラーをやることで、色んな人がいることを知ったし、子どもと接することで自分がどんな人間かをわかるようになったの。

薪の割り方もやりながら学ぶ子どもたち

子どもを通して自分を見る

NAME CAMPでも、カウンセラー側の大学生が子どもと接する中でどう変わっていくかが楽しみで、期待しているのだと話すまいまい。

「例えば大学生で就活とか将来に悩んでいる子にこそ、野外教育のカウンセラーをやってもらいたいと思ってる。カウンセラーをやると、子どもを通して自分のことがみえるから。いい意味でも悪い意味でも。」

キャンプ中、カウンセラーも何度も集まり話し合いを重ねる

「本当はカウンセラーみんな、子どもたち一人一人に寄り添って隣にずっといてあげたいと思うけど、他の子どもたちもいる中で一人の子どもにずっとつきっきりでいるわけにはいかない。

そういうのが対「人」との生活で。

子供にとっては外で生活することってだけですごくチャレンジングなことだけど、正直、大学生や大人にとってはそんなに大変なことではなくて。
雨が降ったり暑かったり寒かったりしても、予測不可能ではないでしょ。でも、対『子ども』との生活はそんなに簡単ではない。いろんな子がいるから、それぞれにちゃんと向き合って考える必要がある。

優しいだけだとダメだし、甘えさせるだけでもダメ。

キャンプ中、ごねて何時間も石の上に座ってキャンプに参加したがらない子もいたけど、多分その子もその間いろいろ考えて、自分と向き合う時間になったと思う。

ここでぶつかった壁が、このキャンプで解決する必要はないし、半年後・・一年後にその子の中で感じて考えてくれたらいいなって思う。」

全国から集まった6名の大学生カウンセラースタッフたち

自分で答えを出す

大人も子どもも、身体だけでなく、心を鍛えられている。これが、自分と向き合うということ。

インタビュー中にもたくさんの子どもたちが彼女の元へやってきて相談をする。

例えば途中でキャンプを辞めたい、という子に対しても、彼女は決して続けることを強要しない。

「どうする?もう少し続ける?」
「うん、あしたのキャニオニングまでがんばる・・・」
「キャニオニングまで頑張る?うん、毎日いっぱい考えればいいよ。ね。」

「使ったものはちゃんと片付けようね」

こうした会話の中からも、彼女の子どもたちに対する優しさと厳しさが垣間見える。
子どもも大学生も、野外での共同生活の中でそれそれが自分と向き合い、自分なりの答えを探りながら11日間を過ごす。

それこそが、まいまいがこの森の大自然の中のキャンプで期待していることなのだ。

まだまだキャンプは序盤。今後のみんなの成長も楽しみだ。

ライター/井上美羽

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