まつの町、まつち駅の線路沿いに住むまつひらさんが育てているのは、「まっちゃんトマト」
トマト農家になって30年。松比良健さんと八重子さんご夫妻はふたりで試行錯誤しながら極上の甘いトマトを作りつづける。
旨味と甘味が凝縮されており、一度食べたら忘れられないと言われるまっちゃんトマトは、SELVAGGIOの看板ピッツァでもある「マルゲリータSTG」にも欠かせない食材だ。
今回、森パン店長の岸本さん(松比良さんからはゆきちゃんと呼ばれる)とともにやってきたのは山に囲まれた松野町蕨生という町。
広見川と予土線の間、線路沿いに松比良さんのトマトハウスが並ぶ。

ハウスに案内してもらうと「ここに座ってな、」と、クッションと台を準備してくれた。
早速、誰もが気になっているあの質問をしてみる。
わたし「なんでまっちゃんトマトはあんなに甘いのですか?他と食べ比べても全然違うんです」
健さん「ぜんぜんちがうやろ。つくり方が違うけん。みんなそれぞれのつくりかたがあるけんなあ」
話を聞いていると、美味しさの秘訣は土や天候、温度、苗の伸ばし方など小さな工夫と苦労の積み重ねでできているんだということがわかってくる。
例えば、ゆっくり熟れる冬のトマトの方が甘いこと。曇天よりカンカン照りの天候の方がトマトに栄養がよく行き渡ること。土づくりが大切だということ。
健さん「だいたいね、温度が高くなったら、色がつくのが早くなる。おっきくなるまでに大きさよりも色が先につくからね、早く大きくなりすぎない方がいいけん」

健さん「このトマトももう赤いけど、この赤じゃあまだ採れない。 もっと赤くなったら採るんよ」
収穫は、毎日奥様の八重子さんが行う。日によっては1日で採り切れないほどの量ができるという。
八重子さん「今年はねすごかったねえ。採るのにね、 追いつかんかった。ここ一列いこうおもっても、 一列いかれへんねん、3分の1とかでカゴが満杯になるけん」

特に大変なのは、高いところのトマトを採る作業だという。
そんな負担もなるべく減らすために、こうして下の方に蔦をぐる〜っと伸ばしてあげることで、高さを調節しているのだそう。
そして苗木屋さんからきゅうりの苗をタダでもらったことが始まりで、トマトだけではなくきゅうりも育て始めた。
持って帰り〜と、八重子さんはエプロンに抱えてたくさん持たせてくれた。

このきゅうりも、たねが小さく、パリっとした食感で美味しい。皮が薄くて、甘い味のするきゅうりだ。ぜひそのまま、何もつけずに食べたい。
まっちゃんトマトは、松野町道の駅の河後森市場で販売している。大人気で毎日お昼過ぎには売り切れてしまうため、わたしも買いに行こうにもなかなか出会うことができない。
夏の間は田んぼの稲刈り作業のため、まっちゃんトマトはお休みに入る。
今年は7月ごろで一旦お別れ・・・。寂しい。
道の駅で見かけたら、ぜひ手にとってみて欲しい。

ライター/井上美羽