あめつち便りアーカイブ
Vol. 12 停電して、はじめて気づいたこと。
Social Re-generator(地域蘇生人)の細羽雅之です。
森の国Valleyの国立公園内にある「水際のキャンパス」には、高さ約6mの巨大なマントルピースの暖炉があります。

屋内で焚き火を囲みながら、ゆったりと語り合える、私のお気に入りの場所です。
昨年、秋の夜長のことでした。
数名の仲間と炎を囲んで談笑していると、突然、
「バチン!」
という音とともに、館内のすべての明かりが消えました。
何事かと思いスマートフォンを見ると、四国全域で大規模な停電が発生しているとのこと。
「これは大変だ。」
誰もがそう思いました。
ところが、不思議なことに数分もすると、
「……何が大変なんだっけ?」
という空気になったのです。
目の前には暖炉の炎があります。
話し相手もいます。
暗いこと以外、実は何も困っていない。
停電は1時間以上続きましたが、その時間は自然と
「もし、このままずっと電気が来なかったら?」
という話になりました。
夜に明かりがなくても、日が沈んだら眠り、日が昇れば起きる暮らしも悪くない。
最低限の照明ならソーラー発電で何とかなるかもしれない。
エアコンが止まっても、この暖炉があれば冬は越せそうだ。
薪なら森にいくらでもある。
料理も火があればできる。
源流の水は豊富に流れている。
冷蔵庫が使えなくても、昔ながらの冷暗所や発酵の知恵を使えば、案外やっていけるかもしれない。
そんな話をしていると、誰かがぽつりと、
「今ごろ街は大変なんだろうな。」
と言いました。
すると別の誰かが、
「このままずっと停電でも、意外と面白いかもね。」
もちろん、不謹慎に聞こえるかもしれません。
でも、その言葉には、「困らない暮らしが、ここには残っている」という実感が込められていたように思います。
その直後、パッと照明が点きました。
停電は復旧です。
すると皆が少しだけ、
「なーんだ。」
と残念そうな表情になったのが、とても印象的でした。
「レジリエンス」という言葉があります。
災害やパンデミック、エネルギー不足、食料危機など、社会が大きく揺らいだときに、どれだけしなやかに暮らしを続けられるかという力です。
便利さは、私たちの暮らしを豊かにしてくれました。
その恩恵は計り知れません。
一方で、その便利さに頼り切ってしまうと、それが止まった瞬間に暮らしそのものが止まってしまうこともあります。
森の中での暮らしは、最新の文明を否定するものではありません。
むしろ文明の恩恵を受けながらも、「もし止まっても、なんとかなる。」
そんな安心感を育ててくれる暮らしなのだと思います。
平時でも、有事でも、大きく変わらない日常。
それこそが、本当の豊かさなのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
森からのお知らせ
「フェーズフリー・リトリート Days 2026」
平時を豊かに暮らすことが、有事への最大の備えになる。
「フェーズフリー・リトリート」という新しいリトリートのかたち。
今回のコラムを書きながら、私自身が改めて感じたことがあります。
それは、本当の安心とは、「何かをたくさん持つこと」ではなく、「なくても暮らしていける力」を育むことなのではないかということです。
そんな考え方に共感し、このたび森の国Valleyは、日本ホリスティック医学協会 会長・山本竜隆先生が提唱・推進されている**「フェーズフリー・リトリート」**の取り組みに参画し、アライアンスを結ぶことになりました。
フェーズフリーとは、「平時」と「有事」を分けて考えるのではなく、普段から心身を整え、自然とのつながりを取り戻す暮らしそのものが、いざという時の大きな力になるという考え方です。
森の中で焚き火を囲み、水を汲み、土に触れ、季節を感じながら食をいただく。
そんな一見すると特別ではない時間が、実は私たちの「生きる力」を静かに育ててくれているのかもしれません。
この新たな取り組みのスタートを記念して、山本竜隆先生をお迎えした特別イベントを開催いたします。
医療・健康・自然・地域づくりという異なる分野を横断しながら、「これからの時代に、本当に豊かな暮らしとは何か」を皆さんと一緒に考える時間になればと思っています。
ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
▶ イベント詳細・お申し込みはこちら
https://morino-kuni.com/retreat-days2026/