あめつち便りアーカイブ
Vol. 13 未来の田んぼは、誰が耕すのだろう。
Social Re-generator(地域蘇生人)の細羽雅之です。
6月に田植えをした稲も、8月に入り、ぐんぐんと成長しています。

人間でいえば、ちょうど青春真っ只中。
毎日少しずつ姿を変えていく稲を眺めながら、「どんな稲穂を実らせてくれるのだろう」と楽しみにしています。
今日は、人口250人の目黒集落の田んぼについて、お話ししたいと思います。
田んぼの広さは「1反(たん)、2反」と数えますが、あまり馴染みがないので、ここでは「1枚、2枚」と表現します。
1枚の田んぼは、およそバスケットボールコート2面分くらいの広さです。
目黒集落には、約360枚の田んぼがあります。
その中で最も多く耕作されている方は、およそ100枚の田んぼをほぼ一人で管理されています。
続いて50枚、30枚という方がおられ、そのほかは3〜10枚ほどを耕作されている方が40人くらいでしょうか。
ちなみに私は5枚の田んぼでお米を育てています。
田んぼをされている方の多くは70代以上です。
あと数年すると、引退される方が一気に増えてくるかもしれません。
そう考えると、この360枚の田んぼの多くが耕作されなくなる可能性があります。
これは目黒集落だけではなく、日本各地の中山間地域でも少しずつ起き始めていることです。
全国の水田の約4割は、中山間地域にあると言われています。
これから日本のお米づくりは、どうなっていくのでしょうか。
そんなことを考える一方で、私は少し希望も感じています。
この数年、目黒集落には20〜30代の若い移住者が少しずつ増えてきました。
農業は初めてという人がほとんどですが、専門家から学んだり、自ら学びを深めたりしながら、自然栽培に挑戦しています。
自然栽培は、農薬・肥料・除草剤に頼らず、自然の循環を活かして育てる農法です。
「自然栽培は手間がかかるのでは?」と思われることがあります。
確かに始めたばかりの頃は、土の状態をよく観察し、試行錯誤を重ねる時間が必要です。
でも、土が育ち、生きものたちの営みが戻り、自然の循環が整ってくると、少しずつ自然が仕事をしてくれるようになります。
人がすべてを管理しようとするのではなく、自然が本来持っている力を引き出していく。
そんな感覚です。
農薬や肥料を毎年買い続ける必要も少なくなり、長い目で見ると、コストも手間も抑えながら続けられる農業へと近づいていきます。
私は、この考え方は農業だけではなく、森づくりや地域づくりにも通じるように感じています。
人が無理にコントロールするのではなく、その土地や自然、人が本来持っている力を引き出していく。
そんな関わり方が、これからの時代にはますます大切になっていくのかもしれません。
360枚の田んぼが、この先どうなっていくのか。
今はまだ誰にもわかりません。
でも、小さな変化は確かに始まっています。
人口250人の小さな集落だからこそ、新しい挑戦もしやすいのかもしれません。
目黒集落で始まっている小さな実践が、日本の里山の未来を考えるきっかけの一つになれば嬉しく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
森からのお知らせ
四万十川源流の未来を、一緒に考える時間

今回のコラムでお伝えした田んぼの話は、お米づくりだけの話ではありません。
森が育む水が田んぼを潤し、その水は川となって海へと流れていく。
その流れの中に、人の暮らしがあります。
私たちは、この豊かなつながりを次の世代へどう受け継いでいけるのかを、日々考えています。
その答えは、一人で見つけられるものではありません。
だからこそ、さまざまな立場の方と一緒に考え、語り合う場をつくりたいと思い、**「四万十川源流の未来を考える会」**を開催します。
研究者、実践者、地域の方々、行政、そして源流の未来に関心を持つ皆さんが集い、それぞれの視点から、森・川・田んぼ・暮らしのつながりについて語り合います。
未来を語ることは、決して特別なことではありません。
目の前の自然を見つめ、小さな実践を重ね、その経験を持ち寄ること。
そんな積み重ねが、これからの里山の未来につながっていくのだと思います。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。
▶ 「四万十川源流の未来を考える会」
https://morino-kuni.com/news/四万十川源流の未来を考える会/