あめつち便りアーカイブ

メルマガ
2026.09.23

Vol. 18 月を介して、想いを伝える

Social Re-Generator(地域蘇生人)の細羽雅之です。

9月に入り、森の国Valleyには新しいお客様が次々と訪れてくださっています。

目黒集落では今、彼岸花が見頃を迎えています。

毎年この時期になると、石垣の脇や田んぼの畦、小さな水路に沿って、それまで何もなかったかのような場所から、彼岸花がいっせいに茎を伸ばします。

そして、お彼岸の訪れをあらかじめ知っていたかのように、集落を鮮やかな赤色に染めていきます。

昔ながらの家並みと石垣、その背後に広がる深い森。その間を縫うように咲き誇る彼岸花は、目黒の秋を象徴する風景の一つです。

けれども、その華やかな姿を見られるのは、ほんの一週間ほど。

少し前まで何もなかった場所に突然現れ、集落を真っ赤に彩り、やがて静かに姿を消していきます。

誰に教えられたわけでもないのに、毎年ほとんど同じ時期に咲く花々。

自然の内側には、人間にはまだ理解することのできない暦や、命の約束事が刻まれているのかもしれません。

そして夜空を見上げれば、月もひときわ美しく感じられる季節になりました。

今回は、そんな秋の月を眺めながら、西洋と東洋の文化の違いについて考えてみたいと思います。

西洋文化には、自分の気持ちを言葉にして、相手へまっすぐに伝えるところがあります。

「I love you」

「あなたを愛しています」

目を見つめて、はっきりと気持ちを伝えてもらえることは、もちろん嬉しいものです。

けれども、日本人にとっては少し照れくさく、まっすぐに向けられた強い気持ちを、うまく受け止めきれないこともあるように思います。

夏目漱石は、英語の「I love you」を「愛しています」と直訳するのではなく、

「月がきれいですね」

と訳した――。

そんな逸話が、今も語り継がれています。

この話が史実であるかどうかは定かではありません。それでも、多くの日本人の心に残り続けているのは、そこに私たちの感覚に通じるものがあるからではないでしょうか。

「私」と「あなた」の気持ちを直接ぶつけ合うのではなく、二人の間にある月をともに見上げる。

同じ場所で、同じ景色を眺め、同じ時間を分かち合う。

そして、

「あなたと一緒に見る、この月がきれいです」

という言葉の奥に、

「あなたをお慕いしています」

という想いを、そっと忍ばせる。

日本文化には、言葉だけですべてを語らず、自然や季節、そして二人の間に流れる空気を介して、心を伝える感性があります。

それは曖昧さではなく、相手の心に委ねる余白なのかもしれません。

森の国Valleyで月を眺めていると、自然はいつも、人と人との間に静かに佇んでいることに気づきます。

月を介して、想いを伝える。

自然とともに生きてきた大和の人々には、そんな愛情表現が、しっくりときたのかもしれません。

「月がきれいですね」

声高ではないけれど、深い想いが込められた、美しい言霊です。

秋の夜、誰かと一緒に月を見上げたとき、この言葉をそっと思い出していただけたらと思います。

【10月4日、「森の営み瞑想」が始まります】

そして、この秋、森の国Valleyから新しい営みが始まります。

その名は、「森の営み瞑想」。

森に耳を澄ますと、鳥の声、川のせせらぎ、風に揺れる木々の音など、さまざまな自然の響きが聞こえてきます。

それらは、ただ心地よい「音」なのではなく、私たちもまた自然の一部であることを、静かに思い出させてくれるものです。

忙しい日々の中で、少しだけ立ち止まり、呼吸を整え、森の営みに心を重ねてみる。

森の国Valleyの自然とつながりながら、自分自身の内側にも耳を澄ませる時間を、皆さまと分かち合いたいと思っています。

「森の営み瞑想」は、10月4日から始まります。

これからこのメルマガでも、少しずつその内容や背景にある想いをご紹介していきます。

詳しくはこちらをご覧ください。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

あめつち便りは、代表細羽雅之が森の国Valleyの考え方を、日々の営みを通してお伝えするコラムです。メルマガで定期配信いたしております。

メルマガご登録はこちらから